パラグラフテキスト |
滋賀県竜王町にある弓削メディカルクリニック。地域の医療を担いながら、家庭医の育成を行っている。現在研修する医師は県内外から集まった12人。地域医療の最前線で約3年間、家庭医としての学びを深める。4月から研修しに来た木村真紀子さん。もともと大阪市内の総合病院で糖尿病内科の医師として働いていたが家庭医を志してここにやってきた。木村さんがほぼ毎日診察するのが外来患者。患者が抱える症状は様々、家庭医にはあらゆる体の不調に対応することが求められる。赤ちゃんの予防接種も重要な仕事。ここに来るまで経験がなかった木村さんを指導医が見守る。手元に集中するあまり、赤ちゃんへの気配りが足りなかったようだ。日々経験を積み家庭医としての腕を磨いていく。木村さんは大学卒業後総合病院に勤務、主に入院患者を診療していた。もっと深く患者にかかわりたいと新たな道を選んだ。この診療所では患者に向き合う現場に加え、家庭医にかかせない学びの場がある。週に一度研修生全員が集まって行われるレジデントデイ。現場で得た多様な症例を持ち寄り、どのような診断や治療が最適か議論する。実際の研修生と患者のやりとりを撮影。その映像を見て意見を交わす。何気ないやりとりに指導医からアドバイスが。会話を深めれば生活主観を変えることにつながったのではないかという。いかに治療に結び付けるか患者との向き合い方を研修生全員で学び続ける。家庭医を目指す研修生は、高齢者への訪問診療も担っている。地域の300世帯に対し要請があれば24時間対応する。研修生の木村さんも訪問診療を週4日行っている。この日、訪ねたのは107歳の患者。患者は近頃床ずれに悩まされていた。研修を始めて半年、木村さんは患者や家族との会話の中からちょっとした変化にも気づけるようになってきている。 |