パラグラフテキスト |
南オーストラリア州の太陽光発電施設。日本の資源開発会社が運営に携わり、275メガワット(約11万世帯の年間消費電力)を発電している。天然ガスの約8割をオーストラリアで生産するこの会社。再生可能エネルギー事業に乗り出すことで、多角化を図ろうとしている。日本企業が脱炭素ビジネスに乗り出す背景の一つが厳しい規制。今年の制度改正で一定量の温室効果ガスを排出する国内事業では前年比4.9%以上の削減が毎年求められる。さらに新しいガス田などは生産過程の温室効果ガスの回収などで排出をゼロにしなければならない。こうした規制に対応し、新たなビジネスにつなげる動きも出ている。日本のガス会社ではCCS研究を進めている。CCSとは排出された二酸化炭素を回収して、地中深くの地層に注入し、貯蔵する技術。この会社では二酸化炭素を1,000分の1ミリ単位にすることで、効率よく貯蔵できるとこれまでの実験で確認している。今、西オーストラリア州の大学ではこの技術の現地での実用化に向けた研究が行われている。地下2キロから地盤のサンプルを採取し、石の隙間に二酸化炭素がどの程度注入できるか地盤が割れないかなどを確認していて、2026年までには研究を終え、早期実用化を目指すとしている。スイスの専門家でオーストラリアの脱炭素政策にも関わっているパトリック・ハートリー博士は脱炭素社会の進展で新たな雇用を創出できるとしている。ただ脱炭素の進展には相応のコストも必要だと指摘している。 |