パラグラフテキスト |
今朝は南アフリカについて。南アフリカはアフリカで唯一のG20のメンバー国。しかし去年の第4四半期のGDP成長率は-1.3%で、背景には電力不足だった。実態について現地からの報告。ヨハネスブルグ支局では午後4時突然電気が消えた。この地区の計画停電がはじまった。停電時間は2時間~4時間半で1日に2~4回発生する。市民の生活は深刻な状況に。ヨハネスブルグに住む60歳の女性は、遠方で働く娘のかわりに5人の孫を育てている。このところ連日停電時間は1日10時間以上で、停電すると冷蔵庫も洗濯機も使えない。コンロも使えず、子どもに与えるミルクも冷たい水で作るしかない。充電式のライトは1時間ほどしかバッテリーがもたず、ほとんど役に立たない。南アフリカはまもなく冬。子どもの健康を守れるか不安だという。電力不足は経済活動にも大きな打撃を与えている。ある養鶏施設は90万羽を飼育し、1日に100万個の卵を出荷している。施設になくてはならないのは、鶏舎内の空気を循環させる換気扇。この日の停電時間は11時間半。停電時には大きな発電機を使用しているが、燃料費が負担となっている。電力供給が滞る背景にはなにがあるのか。今月9日夜プレトリア郊外にある鉄塔7基が突然倒壊し、送電線が切れた。そのため周辺の数千世帯が3日間完全に停電した。少なくとも3基で金属を盗み取ろうとした痕が見つかったという。転売目的で盗む組織的な犯行は、送電能力を著しく低下させている。犯罪行為は発電所地帯にも及んでいる。大きな問題とされているのは、火力発電の燃料となる石炭に関わる不正。犯罪組織が発電用の石炭を運ぶドライバーを買収して、運搬中に医師などが混ざった石炭にすり替えて密売して利益をあげる手口が繰り返されているそう。そのため設備が頻繁に故障にさらなる停電を引き起こしている。この問題について改善の目処は見えていないという。 |