パラグラフテキスト |
トランス女性レスラー「ミス・ガビオタ」ことウェンディ・マルチネスさん。国民的人気のプロレスのルチャ・リブレを舞台にメキシコ初のトランスジェンダーレスラーとして20年以上活躍してきたが、数々のひどい言葉を言われてきたという。普段は美容室を営んでいる。ウェンディさんは家族の理解を得られたが、マチスモという男性優位主義の概念が強く残る中、居場所を失う人も少なくない。トランス女性の支援団体を運営するケニア・クエバスさん。家族からの虐待から逃げるように9歳で夜の街に立った。性的マイノリティーの権利保護に向けた法整備は進んでいるが、トランス女性への偏見は未だに強く、定職に就けずにセックスワーカーとなるケースも多い。しかし、夜の街は危険と隣り合わせ。7年前に友人のパオラさんは目の前で客の男に射殺された。ケニアさんの目撃証言は証拠として不十分とされ、警察は男を逮捕もすぐに釈放。ケニアさんはこれを機にトランス女性の人権保護を訴える団体を設立。3年前には国内初のシェルターを開設。メキシコでは1年間に56人のトランスジェンダーが殺され、ケニアさん自身も命の危険に晒されている。体には撃たれた痕が残っていた。ケニアさんの活動に反発する勢力による犯行だとみられている。命の危険がある中で何が突き動かしているのか?と質問すると、「みんなが完全に平等に扱われる日が来ることを夢見ている」と語った。 |