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大阪・住吉区。今日のキンゴジンはこの街の工房にいるハラ・ジェルソン・アイザワさん。ブラジル出身で日系三世の自転車職人。実はジェルソンさんちょっと変わった素材を使う。ジェルソンさんがてがけるフレームの素材、それは竹。通常は金属性だが、竹で強度はもつのか。竹は2倍の体重に耐えるだけでなく軽いため女性でも操作しやすいという。25年前、ブラジルにいたジェルソンさんはIT業界で働くかたわらロードレースに出るほど自転車好きだった。その後、21歳のとき日本へ。初めて目にしたのが日本の竹細工。竹の美しさの虜になる一方、丈夫でしなやかな性質を活かし竹で自転車のフレームを作ってみたいと考えるように。ジェルソンさんは独学でフレームを作り始めたが金属と違って竹は溶接できない、試作を重ねても強度がでなかった。そこで竹と竹のつなぎめにカーボンファイバーで付けてみるがうまくいかなかった。それでも諦めなかったジェルソンさんの金言は「失敗は失敗でない」というもの。ジェルソンさんは船を木材で作っていたころのことが書かれた専門書を読み漁った。そこで見つけたのが繊維を接着剤でくっつけたあとに真空パックでビッタビタにする方法。これにより強度があがった。こうして8年掛けて開発したフレームは欧州の規格に合格。さらにジェルソンさんは地域の課題解決にも貢献しようとしている。やってきたのは京都・亀岡のある放置竹林。フレームに使うという。ジェルソンさんは失敗してもやり方を変えることで新たな展開が生まれると信じている。 |